2023年8月4日公開『しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 ~とべとべ手巻き寿司~』を観てきました。
制作期間7年、シリーズ初の3DCG化という所が注目の1つでしたが、内容も想像以上に新次元でしたね。
今作も非常に面白かったです^^
個人的な映画の感想や観て気になった点などを記録しておきましょう。
※以下、ネタバレを含むのでご注意を。
『しん次元!クレヨンしんちゃん』の感想-直接的なメッセージで刺す作品
しんちゃんの映画としては初の3DCGでしたが、個人的には『スラムダンク』も『マリオ』も観たし、3DCGに関しては特に抵抗なく観られたので良かったです。
映画・映像の世界はあまり良くわからないけれど、映像的には「3DCGで見せたい作品だろうなー」と感じました。
さて、ギャグセンスの高さやゲスト声優さんたちの上手さ、深田恭子さんについてなどいろいろ書きたいこともありますが、毎回内容に関して感想を書いているので今回もそうしようと思います。
今回強く感じたのは『直接的なメッセージで刺す作品』だったというところ。
しんちゃんの映画、特にここ数年はストーリーのどこか『社会風刺』を感じる作品が多かったと思います。
ただ、どちらかというと婉曲的にメッセージを届けていて、『大人は大人の解釈で、子供は子供の解釈で観る作品』として何となく一線を画してたような気がしてました。
けれども、今回の『『しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦』は今まで以上に直接的で「あっ、刺してきたゾ」と。
『新しい挑戦』と言って良いのか分からないけれど、何となく子供たちにもリアルを見せているような気がして、『大人も子供も同じ社会テーマを考えながら観る作品』のように個人的には受け取ったかな。
もちろん何も考えずにただ観ても笑えるので、深く考える必要もないと思うし、子供にとってはちょっと大人向けなのかもしれないけれど、何かを考えざる(感じざる)を得ないくらい『直接的』だったと思います。
しんちゃん程のキャリアのある作品がこんなにも鋭いストレートを投げて来たのが意外だったし、「しんちゃんはどこまで行ってもしんちゃんだよなー」という気分にもなれた。
キャッチコピー通り「こんなしんちゃん、見たことない」って感じでしたね^^
続いて、全体ではなく一部分からも感想を書いてみましょう。
『しんのすけ』と『非理谷充』の対比シーンから考える『環境』について
しんのすけが暴徒化した非理谷充の体内に取り込まれたシーン。
子供のままのしんのすけと大人に成長していく充くんの対比が私はすごく印象的でした。
中でも特に印象的だったのが2人とも幼稚園生で、テレビでカンタムロボのアニメを観ていたシーン。
しんちゃんが「なんでも揃っててイイね」みたいなことを言っていて、でも、充くんとしてはその環境は幸せには感じてなかったですね。
では、なぜ充くんはその環境を良いと感じなかったのでしょうか?
思うにそれは『ひとりぼっち』だったからかなと。
両親が忙しくてお家に居なかったり、友達ともうまく交流できなかったり。
そこでハッとしたんですよ。『環境』って『人』のことなんだなって。
ひとりぼっちじゃないと感じる。ただそれだけで幸せなんだなって。
『人』も『環境』に含まれるっていうのは当たり前のことだし、何も特別じゃないんだけど、なんかずっと忘れてた気がする。
「駅まで何分か?」「近所に公園やスーパーがあるか?」「生活家電は充実しているか?」とか、
家周りの『環境』を思い浮かべるとそんなことばかり考えてた。
でも、一番大事なのって「誰が」なんだね。
これは2人が子供で余計な感覚を持っていなかったから、時が経ってもしんちゃんが子供のままだったから私は気づけたような気がします。
「自分と違う人間、異物感は必要なんだな」という事を改めて感じたし、しんちゃんの自分と違う人間(価値観)を否定しない器量の大きさに感服させられましたね。
しんちゃんの映画を観ると毎回何かしらを学ばせてもらいます。
まぁ次の日にはもう忘れてるんだけど。笑
サンボマスター『Future is Yours』の歌詞の意味を考えよう
ひねくれ者の私は直接的な表現が苦手だったりもするのですが、サンボマスターの楽曲はそんな私に対しても真摯に届けてくれるので「くさすようなことはしたくない!」という気持ちにさせてくれます。
『何を言う』ではなく『誰が言う』のような存在だから、サンボマスターの楽曲が届かない訳がないんですよね。
名曲揃いの中に、また一つ新たな名曲が刻まれた気がします。
そして、サンボマスターの凄さは『何を』の部分もちゃんと伝わってくるところにもありますよね。
『キミ』と『君』と『あなた』、『ボク』と『僕』の使い分けが秀逸
歌詞を読んでみると『キミ』と『君』と『あなた』、『僕』と『ボク』というように“人”の表現方法が使い分けられています。
意図的に使い分けているのかはわかりませんが、私みたいなひねくれ者はこういった細かいことが気になるのですね(´ω`)
さて、私は漢字表記だと大人っぽさ、カタカナ表記だと子供っぽさを感じたりすることもありますが、それを踏まえた上で、まずは先に『キミ・君・あなた』にフォーカスして歌詞を見てみましょう。
まず、歌詞の前半部分は『キミ』と表記されています。
【今までの日々はキミだけのもの これからの日々もキミのもの】
この『キミ』を使った歌詞の部分からは「まだ上手く行っていない感じ」や「過去」のような印象を受けます。
でも、そんな「キミ」かもしれないけれど、そんな「キミ」をも肯定してくれる前向きさも感じられますね。
また、途中からは『君』と表記されています。
【君はいたほうがいいよ 未来は君のためにあるの】
この『君』を使った部分からは「今」をイメージさせます。
1番の歌詞の結びで「ひとりぼっちは終わりさ」とありますが、そう言われても帰り道やお風呂に入っている時間だったり、あと仮に周りに人がいたとしても『一人の時間』って来るんですよね。
それで、ベースだけが鳴って、どことなく寂しさを感じて「やっぱりひとりぼっちなのかな…」と思った時に【君はいたほうがいいよ】というフレーズが聴こえてくる。
この言葉はただの言葉以上のパワーを感じますね。
そして最後は「あなた」という言葉が出てきます。
【I Love You あなたに幸せふりそそげ その旅に出よう今】
この『あなた』の表現からは「大人になったこと」や「未来」を感じさせます。
旅に出て、また一人の時間を過ごす日が来るだろうけど、その時はきっと「ひとりぼっちではない」でしょうね。
こんな感じで『キミ・君・あなた』という言葉の使い方だけで時間軸を感じさせてくれるのは本当に秀逸だし、しかもタイトルは英語の『YOU』を使ってる。
『You』と表記することで『キミ・君・あなた』のすべてを含んでいるように感じさせるし、そう考えると、この曲のタイトルは『Future is Yours』以外にはあり得ないとすら思えてきます。すごいわ、天才だ(;゚Д゚)
また、『ボク・僕』に関しても似たようなことが言えるけれど、使い方が『キミ・君・あなた』とは違うんですよね。
1番では
【明かりが灯るよ 僕が灯しに来たのさ】
となっていて、2番では
【ボクが灯しに来たのさ 君を探しに来たのさ】
となっています。
1番は『僕』を漢字表記にしている箇所があって、この部分ではどこか大人びた感じを受けます。
一方で2番は『君』に対して『ボク』と表現していて、成長して(時間が進んで)いろいろ考え始めた『君』に無鉄砲さの残る『ボク』が励ましてくれている印象を受けます。
だから、私みたいに考えすぎる人間は【ボクが灯しに来たのさ 君を探しに来たのさ】っていうフレーズはグッとくるんです。
『ボク』っていう感覚を持ってる人に救われたりするんです。
自分と真逆の存在を許容することの大切さ
“人”って自分と対極の存在を嫌がったりするけれど、同時に救われたりもすると思う。
悲しみに暮れている時、そこに無邪気に笑ってる赤ちゃんがいたらどう思うか?
「人の気も知らないで!」と怒ったりするかもしれないけれど、「赤ちゃんだから今の自分の状況なんて分からないよなー」と気づければ、その笑顔は自分を救ってくれる存在になると思う。
だから自分にない感覚とか意見とかを持ってる人のことをすぐに否定しないことは大切なんだね。
かといって、受け入れるのは難しかったり嫌だったりもすることも当然あるから『許容する』ぐらいの感覚を持っていると生きるのはラクかもしれないね。
ちょっと脱線しましたが、サンボマスターの【Future is Yours】は『誰が言う』の部分はもちろん、『何を言う』の部分も優れてるから良い曲なんだよね。
サンボマスターが「頑張ろうぜ」と応援してくれてる感じもするし、自分が自分に「頑張ろうぜ」と応援している感じにもなれる。
私みたいな『まっすぐ』とは対極にいるような人間に対しても、サンボマスターはストレートに楽曲を届けてくれる。
だから、外側からも内側からも言葉が響いてくる。
要は「サンボマスターはサイコゥ!サイコゥ!サイコゥ!ヾ(≧▽≦)ノ」ってことです!

『しん次元!クレヨンしんちゃん』のあらすじ
【あらすじ】
ノストラダムスの隣町に住むヌスットラダマスはある予言を残していた。「20と23が並ぶ年に天から二つの光が降るであろう。一つは暗黒の光、もう一つは小さな白い光…やがて暗黒の光は強大な力を持ち、平和をごっつ乱し、世界にめっちゃ混乱を招くことになるんやでえ」
そして2023年、宇宙から二つの光が接近。夕飯を待ちわびるしんのすけに白い光が命中する。体にみなぎる不思議なパワー。「お尻が…お尻がアツいゾ…」力を込めるとおもちゃがフワフワと宙に浮いた!エスパーしんのすけ誕生の瞬間である。
一方、黒い光を浴び、暗黒のエスパーとなった男の名は非ひ理り谷や 充みつる。バイトは上手くいかず、推しのアイドルは結婚、さらには暴行犯に間違われ警察に追われていた彼は、力を手に入れたことでこの世界への復讐を誓う。
世界の破滅を望む非理谷 VS しんのすけ。
“すべてが、しん次元”なちょー超能力大決戦が今、幕を開ける!
この夏、絶望に立ち向かうしんのすけの放つ光に、胸と尻がアツくなる──
地上波テレビ放送予定はいつになりそう?
クレヨンしんちゃんの映画公開の時期になると過去作品の地上波放送がされることもあります。
『しん次元! クレヨンしんちゃん THE MOVIE 超能力大決戦』の地上波放送も待ち遠しくなりますが、いつ頃放送されるでしょうかね。
これに関しては「わからない」という結論にはなりますが、次回作の公開直前に放送されることが多いですよね。
例えば今回で言えば、2023年7月30日(日)に前回作品の『もののけニンジャ珍風伝』が放送されてました。
作品によっては前回作品よりも前の作品が新作公開記念で放送されることもあるので確実ではありませんが、もしかしたら来年の新作映画の公開直前に今回の『しん次元! クレヨンしんちゃん THE MOVIE 超能力大決戦』が放送されるかもしれませんね。
ちなみに、ABEMAプレミアムならしんちゃん映画の過去作がいつでも観られるので、気になる作品がある方はチェックしてみてくださいな。
2024年の映画公開はすでに決定。
詳細は分かりませんが、映像を観る限り、今度は『2次元に戻って恐竜が出てくる』ことは分かりましたね。
次はどう舵を切ってくるのか、どんな作品になるのか今から楽しみです^^
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