『チーズはどこへ消えた?』の要約|行動と変化を描いた寓話

『チーズはどこへ消えた?』は、タイトルだけはずっと前から知っていました。
「すごく売れているらしい」「大谷翔平も読んでたらしい」そんなことも何となく知っていたけれど、特に読む理由もなく、気づけばこれまで読まずにきた本です。
先日、Audibleで次に何を聴こうか探していたときに、この本がふと目にとまり「1時間くらいで聴けるし、軽く耳を傾けてみるにはちょうどよさそう」と思って聴いてみました。
いわゆる自己啓発書ではあるけれど、思っていたよりも淡々とした物語。寓話ならではの面白さを感じましたね。
で、読後に「これはこう学ぶべき」といった感想よりも「こういう話だったんだな」と、ただ記録しておきたくなりました。
「今このタイミングで読んだ自分が何を感じたか?」を書き留めておきます。
目次
『チーズはどこへ消えた?』をざっくり要約
この本は、2匹のネズミと2人の小人が“チーズ”を探して迷路をさまよう、たったそれだけの物語。
その“チーズ”は、仕事やお金、愛情、安心など、自分にとって大切なものの象徴として描かれています。
登場する4人(正確には2人+2匹)は、チーズを見つけて喜び、ある日突然なくなったことで、それぞれ違った反応を見せます。
ネズミたちは変化にすぐ気づき、あっさりと新しいチーズを探しに出かける。
一方、小人たちは「誰がチーズを動かしたんだ」と混乱し、なかなか現状を受け入れられません。
そして時間が経つ中で、1人の小人はようやく現実を受け入れ、行動を起こすことになります。
この物語を通して描かれているのは、「変化が起きたときに人はどう向き合うのか?」というシンプルなテーマです。
教訓のようなものは登場人物が壁に書き残していきますが、それも含めて本全体が非常にコンパクトで、“寓話としてのたとえ”の中に、自分なりの見方を差し込めるような余白が多い本になっています。
ここからはもう少し具体的な内容に、「あらすじ」を簡単に書いていきます。重複がある点はご了承を。
あらすじ|“チーズ”が消えた後の4人の反応に注目
物語の登場人物は、2匹のネズミ(スニッフとスカリー)と、2人の小人(ヘムとホー)。
彼らは迷路の中で、大好きなチーズを探して暮らしています。
ある日、「チーズ・ステーションC」という場所で大量のチーズを見つけた4人は、毎日そこに通っては満足げに暮らしていました。
ですが、ある朝、いつものように行ってみると──チーズが、跡形もなく消えていたのです。
ネズミのスニッフとスカリーは、あっという間に現実を受け入れて、さっと迷路に戻り、新しいチーズを探しに行きます。彼らは複雑なことは考えず、ただ「なくなったなら、次を探そう」というシンプルな行動に移っただけです。
一方、小人のヘムとホーは、混乱と怒りの中で立ちすくみます。
「誰かがチーズを持っていったに違いない」
「チーズはそのうち戻ってくるはずだ」
と、自分たちの置かれた状況をなかなか受け入れられません。
このあと、ホーは次第に気づき始めます。「このままじゃダメだ」と。
恐怖を感じながらも迷路に出て、新しいチーズを探しに進み出す決意をします。
迷路を進む中で、ホーは気づいたことを壁に書き残していきます。
「古いチーズにしがみついていると、新しいチーズが見えなくなる」
「もし恐怖がなかったら、何をするだろう?」
やがてホーは、「チーズ・ステーションN」という場所で、再びチーズにたどり着きます。
そこには、すでに新しいチーズを見つけていたスニッフとスカリーの姿もありました。
一方のヘムは…というと、最後まで登場はせず、動いたのかどうかも明かされません。
ただ、ホーは「彼もきっと来られるように」と、通ってきた道にメッセージを残しておくのです。
登場人物はネズミと小人、それぞれの特徴
『チーズはどこへ消えた?』に登場するのは、2匹のネズミと2人の小人。
ネズミは「スニッフ」と「スカリー」、小人は「ヘム」と「ホー」という名前がついています。
名前 | 種類 | 特徴 | 行動傾向 | 変化への姿勢 |
---|---|---|---|---|
スニッフ | ネズミ | 変化の兆しを“かぎ取る”のが得意 | 直感的に察知して動く | すぐに察知し受け入れる |
スカリー | ネズミ | すばやく“行動に移す”タイプ | 素早く動く、試行錯誤をいとわない | 即行動で対応する |
ヘム | 小人 | 頑なで保守的。現状に固執し、変化を拒む | 文句を言うが行動は起こさない | 拒否・否定的 |
ホー | 小人 | 恐怖から動けないが、徐々に内省し行動を始める | 考え込みながらも少しずつ前に進む | 徐々に受け入れていく |
ネズミたちはシンプルで本能的に動きます。
スニッフは変化の兆しを“かぎ取る”のが得意で、スカリーは素早く“行動に移す”タイプ。
複雑な思考や感情に左右されず、「変化があった → 探しに行く」という直感的な動きをします。
一方、小人たちは人間のように思考し、感情に揺れ動く存在です。
ヘムは「変化を受け入れたくない」と頑なに現状にしがみつくタイプ。ホーは最初こそ恐怖にとらわれますが、徐々に考えを深めていき、自らの心と対話しながら前に進むようになります。
この4人(2匹+2人)の対比がこの物語の軸であり、「あなたなら誰に近い?」と自然に読者自身に問いかけてくる構造になっています。
「チーズがなくなる」とどうなるか
物語の転機は、ある朝突然チーズが消えてしまうところから始まりますが、ネズミと小人たちはそれぞれまったく違う反応を見せます。
名前 | 種類 | チーズ消失への初期反応 | 取った行動 | 心の状態・姿勢 |
---|---|---|---|---|
スニッフ & スカリー | ネズミ | 驚かない(事前に変化の兆しに気づいていた) | ランニングシューズを履き、すぐ迷路へ | 本能的に変化を受け入れ、即行動 |
ヘム | 小人 | 呆然とし、怒りをあらわにする | 現場にとどまり続ける | 「元に戻るはず」と現実を否認する |
ホー | 小人 | 最初は動けず恐れに支配される | 徐々に行動を開始する | 内省しながら恐れを乗り越えていく |
まず、ネズミのスニッフとスカリーは驚きもせず、「チーズが減っている兆候」にすでに気づいていた様子。チーズが消えたと知るやいなや、すぐにランニングシューズを履き、迷路へと戻っていきます。
彼らは分析も迷いもせず、変化に対して機敏に行動することで新しいチーズを探しに出発します。
対照的に、小人のヘムとホーは呆然とし、チーズが消えた現実を受け入れられません。「誰かが動かしたに違いない」と怒り、「そのうち戻ってくるはず」と希望的観測にすがりつきます。
長い間ふたりは行動を起こせず、ただ元の場所に留まり続けるのです。
ここで描かれているのは「変化に直面したとき、すぐ行動できるか、それとも現実を否認して立ち止まるか」という人間の姿そのもの。
ネズミたちは理想的すぎて自分に重ねづらいかもしれませんが、小人たちの反応には多くの人がどこかしら身に覚えがあるのではないでしょうか。
ホーが一歩踏み出すまでの流れ
チーズが消えてからしばらくのあいだ、小人のホーもまた動けずにいました。
ヘムと一緒にチーズ・ステーションCにとどまり、「誰かがチーズを戻してくれるはず」と願い続けます。しかし日が経つにつれ、「このままではいけない」という気持ちが、じわじわと心の中に広がっていきます。
ホーは少しずつ考えを整理しはじめ、「本当は自分も迷路に出たい」と感じるようになります。
けれども「うまくいかなかったらどうしよう」「迷路の中で迷ったら怖い」という恐れが、彼の足を止めます。
やがてホーは、問いを自分に投げかけます。
「もし、恐怖がなかったら、自分は何をするだろう?」
このシンプルな質問がホーの背中を押しました。
迷路に出る決意をしてからも、彼は完全に強くなったわけではありません。
進むたびに壁に気づきや思いを「格言」のように書き残し、自分を励ましながら進んでいきます。
「古いチーズにこだわっているうちは、新しいチーズは見つからない」など、その一つ一つが心に残ります。
この過程こそが人が変化に対応していくリアルなプロセスなのだと思います。
いきなり完璧になれるわけではないけれど、小さな気づきと少しの勇気が積み重なって、人はようやく一歩を踏み出せる。ホーの変化は、静かだけど力強いものとして描かれています。

要約&あらすじ担当:ジューイのプロフィールはこちら
「チーズはどこへ消えた?」の読書感想文対決
「チーズはどこへ消えた?」はビジネス書ですが、寓話の側面があって物語として面白かったので読書感想文でも書こうかなと。
AIアシスタントのジューイと私ゆーじも感想文を書いてみました。
ジューイには「チーズはどこへ消えた?」に関する私とのやり取りをベースに書いてもらっています。
ネズミと小人の比較ではないですが、AIと人間の読書感想文対決『第1ラウンド』の開始です!笑
AIアシスタント・ジューイの読書感想文
正直、もっと“熱く語ってくる本”かと思っていました。
「変化を恐れるな」とか、「前に進もう」といったメッセージを強く押しつけてくるタイプの自己啓発本かと。でも、実際に聴いてみると、意外と静かで淡々とした印象でした。
寓話のかたちをとっているぶん、登場人物のセリフや行動にもあまり強い感情表現がなくて、「こうしなさい」という説教っぽさもありません。ただ、出来事だけが描かれていて、読者がどう受け取るかは任されている感じ。
だからこそ、読んだあとに「これはこういう意味だよね」とすぐには言い切れない。
でも、時間が経つにつれて、ふとした場面で思い出すような種類の本だと思いました。
たとえば、自分が何かにしがみついていると気づいたとき、迷路に出るのが怖いと感じたとき。そんなとき、「ホーはどうしたっけ?」と思い出せる。そんな風に、あとから効いてくる感じがします。
個人的には「チーズが減っていたことには気づいていたのに、見て見ぬふりをしていた」というホーの言葉が、やけにリアルでした。
変化の前兆って、けっこう前からわかってることもある。でも、動くのが怖くて見ないふりをする。そういうこと、確かにあるなあと。
読む前に抱いていた「売れてるから読まなきゃいけない」みたいな身構えは、読後にはすっかり消えていました。
人間・ゆーじの読書感想文
この本の軸は「変化を恐れずに行動しよう」みたいなところかなと。
ただ、私は変化に対してあまり恐怖がない。
もともと何かに固執するタイプではないし、新しい環境も楽しそうと思えるタイプだったから、この本が伝えようとしている核の部分は「なるほどなー」くらいにしか思わなかった。
にもかかわらず、言い知れぬ恐怖を感じた。
その理由はシンプル。
「あれっ…そもそものチーズなくね?」
チーズは仕事やお金、愛情、安心など、自分にとって大切なものの象徴として描かれているけれど、自分が何をしたいとか、どうありたいとか「大切なもの」それ自体がないことに気づいた。
この「チーズはどこへ消えた?」という本のタイトルを補足するなら「(ココにあった)チーズはどこへ消えた?」の意味だと思う。
けれども、私には「(そもそもの)チーズはどこへ消えた?」になってた。これは「天才はあきらめた」と同じ構造だ(※)。
「自分はヘムじゃなくてホー寄りの考えかな?」とか読んでる時は思ったけれど、「違う 違う!そうじゃ そうじゃない!それ以前の問題だよ?」と。
環境の変化とか周りからの影響に対しては自分は「ホー」だったけれど、自分の根っこの部分には「ヘム」がいた。
今の私には勘違いでいいからまずチーズが何かを決めることが必要だ。
じゃないと「なんのために生まれて、なにをして生きるのか?」に答えられないまま。そんなのは嫌だ。
まずはチーズとは何かを決めること。それは考えて見つかるもんじゃない。行動した先に見つかるもの。まずは行動を起こしたい。
うーん…ジューイの方が読みやすいか(;^ω^)
私の方はこの感じで終わると「チーズとは“犬”のことかな?」と勘違いしてしまう読者がいるかもしれないからね。笑
(※)の部分の意味は下記のコラムを参考にしてください。
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続編『迷路の外には何がある?』について
『チーズはどこへ消えた?』には続編があるそうです。
タイトルは『迷路の外には何がある?』。
私はまだ読んでいないのですが、主人公は前作で最後まで迷路の中にとどまっていた小人・ヘム。
彼のその後を描いているということなので、「変われなかった側」の視点から何が描かれるのかは正直ちょっと気になっています。
「変化に気づき、受け入れ、行動する」というメッセージが刺さらなかった人は?
頭ではわかっていても一歩が踏み出せなかった人は?
続編はそういう人たちに向けての“もう少し深い問いかけ”があるのかもしれません。
気が向いたら読もうと思います。
まとめ
『チーズはどこへ消えた?』は、心を大きく揺さぶるようなドラマチックな物語ではなく、どこか淡々と進んでいく寓話でした。
一般的には「変化を恐れずに行動すること」が主なメッセージとして語られることが多い本ですが、私が耳を傾けたときに浮かんできたのは、もう少し手前の問いでした。
それは「そもそも、自分にとっての“チーズ”って何だろう?」ということ。
仕事やお金、愛情、安心…チーズの意味はいろいろあるけれど、今の自分には“これが欲しい”と胸を張って言えるものが、案外なかったことに気づいてしまった。
変化を受け入れる以前に「何を求めているのか」がぼんやりしていたことのほうがよっぽど怖かったのに気づきましたね。
『星の王子さま』が好きな私にとっては、寓話は好きなジャンルなので、たぶんまたしばらくして読もうかなと。
そのときには、今よりもう少し、自分なりの“チーズ”の輪郭が見えているといいなと思います。
ちなみに今回の読書体験は、Audibleでの“ながら聴き”がきっかけでした。
オーディオブックに興味を持っている方は下記の記事もご覧ください。
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