第28話「人間に一番必要な能力」
前回の【第27話「空気が読めない人って怖くないの?」】で、『意外性を感じる空気の読めなさは魅力的に感じるのかもしれない』と書きました。
ふと思ったのですが、“意外性”って上位で重要な能力なんじゃないかと。
なんなら極端に、人間にとって最も重要な能力と言ってもいいかもしれない。
意外性はいろんな言葉に置き換えられる。例えば恋愛における意外性だと“ギャップ”とか、ドラマや小説における意外性だと“裏切り”とか。
ヤンキー子猫理論みたいに悪いヤツの良い面を見て好きになるのも、味方だと思っていた人物が実は犯人だったのも、表現はいろいろだけど一言で言えば『意外性が生まれる』とまとめられそう。
ということで、今回は意外性について考えてみましょう。
なぜ人は意外性に大きく感情を動かされるのか?
おそらくココには『物語がある』からかなと。
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意外性を感じるということは、前提として想定してる道筋があるわけですよね。
物事は想定通りに進んだ方が安心・安定するけれど、負の側面で言えば気持ちは動かない。
逆に、予想外の展開を迎えると良くも悪くも感情は揺さぶられる。
『想定内』という前提条件(フリ)がすでにあるから、そこにはパワーが生まれるのかなと。
M-1グランプリで笑い飯の西田さんが「思ってたんと違う!」が面白いのは、フリがしっかりしてるからでしょう。
衝撃のダブルボケを披露し、毎年M-1決勝に進出。
「優勝まであと一歩…!」という経験を幾度も積み重ね、誰もが面白いと認め、誰しもが『いつか必ず優勝するだろう』と思っている。
2008年の決勝も安定した面白さでファーストラウンド3位をキープ。
9組目、敗者復活で勝ち上がってきたのは(当時)まだ無名に近いコンビ。
視聴者の中にはすでに「決定戦で笑い飯はどんなネタを見せてくれるんだろう?」と思ってる人もいただろう。
けれども、得点発表の瞬間に映し出される光景は、驚きを隠せない後のラジオモンスターと不敵な笑みを浮かべるピンクベスト。
こんなフリを受けての「思ってたんと違う!」だから面白い。
意外性には物語があるんですね。
思い返してみると私自身、意外性を凄く意識してたことがありました。
高校のサッカー部時代。
献身的でよく走る選手だった私ですが、根っこはトリッキーなプレーが好きでした。
その私のプレースタイルを認めてもらえた時があったのですね。
それ以来、サッカーがより楽しくなりました。
これも元々は『トリッキーな自分だけど、レギュラーになるためによく走る選手にならざるを得なかった』という物語(プロセス)があったから、より楽しさを感じられるようになったのですね。
意外性が大事だということをすでに実感していたから、いま改めて「価値が高いんじゃないか?」と思えているのかもしれません。
意外性を発揮するために最も重要なこと。
それは“平凡さ”でしょう。
当たり前や予定調和、常識とかいろいろ表現できるけれど、『平均を知る』こと大事なんだなと。
学生時代とか「期末テストの平均得点は…」って言われると、平均より上か下かに一喜一憂させられてあんまり好きな表現じゃなかった。
学力はいつも『中の上』くらいをウヨウヨして、「コイツ面白みねぇなー」って感じでしたからね。
でも、社会は学校のように学力だけで判断される世界ではないし、平均も絶対値があるわけじゃない。
何が『普通』なのかは、時代や環境によって変わってくる。
ならば「世間の重心はどこあるか?」にアンテナを張っていれば、意外性を意図的に生み出せるかも。
もっと言えば、世間の重心が変わればそのままの自分でいても意外性を生むのかもしれない。
小難しい漫才が増えてきたから『バッテリィズ』の漫才スタイルにハッとさせられたみたいな?
重心を測るか?そのままでいるか?
自分がどっちの方向に重きを置くかはもう少し考えたいと思います。
私の感覚的には「地球として生きるか?太陽として生きるか?」って感じなんですが・・・小難しそうなので今回はココでやめます。笑