小林多喜二『蟹工船』の読書感想文を書きました。
10年前くらい前に話題になった記憶があるのですが、今まで読んだ事はなく今回が初見になります。
実際に読んでみると「なぜ話題になったか?」が良くわかりました。
まずは感想文から書いていきましょう。
『蟹工船』の読書感想文【800字】
【タイトル:楽しい地獄を選んで生きていく】
私は蟹工船には乗らない。
それは過酷な労働が嫌だからでもなく、行き先が地獄だからではない。
自分の人生を他人に任せたくないからだ。
私は就職活動に失敗している。
どの企業からも必要とされなかった私だが、バイト先の店長に「就職が決まってないならウチで働かないか?」と言われ、何とか就職することができた。
働き口があることを周りは喜んでくれたし、私自身もホッとした。
何かに所属することの安心感を私は知っている。
就職先は蟹工船のような過酷な環境ではなかったし、それなりに安定もしていた。
多分あのまま働いていたら、まともな人生を送れただろう。
ただ、拾ってもらった感謝の気持ちはあったけれども、どうしても『他人に自分の航路を決められて良かったのか?』という感情は消えなかった。
何かがしたいわけでもなかったけれど、仕事という人生において重要度の高い物事を人に決められた自分が情けなった。
会社をやめ、目標を見つけ独立し、個人事業主として働くようになって今年で7年目。
世間体よりも自分の気持ちを優先させたことが果たして正解だったのか。
その答えは今も分からない。
蟹工船は過酷な環境で働く労働者を通じて、資本主義のあり方を考えさせられる内容だ。
権力者が得をし、労働者が搾取されることはあってはならない。
劣悪な労働環境や権利を奪われるなど多くの問題はあるが、雇われて働けることほど安心できるものはないとも思う。
広い海で筏に一人漂っている身になってはじめて、船に乗れるありがたさが分かる。
筏に乗って広い海を進んでいくのに安定などないし、結果を出せなければ死んでしまう。
船の中は地獄かもしれないが、船を出てもこの海は地獄だ。
少しずつ殺されている感覚はどこにいたって消えない。
周りに支配され安定して生きる地獄。
自由だけど保証のない不安定の中を生きる地獄。
どっちにしても地獄を生きるなら、私は自分が選んだ地獄を楽しみながら生きていきたい。
(799文字)
読む人の立場によって受け取り方は全然違う
自分の体験談を絡めて書いてみたけれど、あんまり良い感想文ではないかなー。
『蟹工船』はプロレタリア文学なので、労働者から見る価値観を受けて感想文を書いた方が良いとは思ったのですが、私は企業に属して働くという生き方を捨てたので、違う視点で書いてみました。
もっと作品に入り込んで感想文が書けたら良かったのですが、如何せん自分には関係ない世界すぎて、そんなに感情移入することはなかったです。
少し斜に構えた感想文になっちゃったかな。。。
さて、当時の時代背景を調べてみると、作者の小林多喜二がどれだけの覚悟でこの作品を書いたのかも分かるし、多くの方が注目するのが良く分かる作品だと感じました。
また、再注目された時期についても調べてみたら『リーマンショック』があったり、『ワーキングプア』『ネットカフェ難民』『ブラック企業』などの言葉が出た時期で、ちょうど労働環境について問題視されていました。
100年くらい経っても話題になるということは、状況は違えど『根本は変わっていない』ということなんだろうね。
いつの時代も社会的弱者は存在してしまうし、「上からじゃ見えないものばかり」みたいな感覚は私も心のどこかに感じています。
だからといって「自分以外の周りの存在、世の中が全部悪いのか?」と考えると、そんなこともないのかなー。
自分では気づけてないところで恩恵は受けているのでしょう。
さすがに『蟹工船』で描かれていた世界は良くないとは思うし、社会情勢など背景を知ると、非常に考えさせられる作品ではありますね。
読み手の働き方によって感情の強度が変わる作品だとは思います。
コントロールできないものは考えない
私は自分がコントロールできないことに関しては考えることはやめてます。
社会とか政治とかいろいろ思うことはあるけれど、周りが変わるより自分の考え方を変えた方が楽だし、早いし、面白い。
もちろん中には世の中が変わらないと苦しい立場の人もいるから、そういった人たちの想いは報われてほしいです。
けれども、私自身に関しては不遇でも不当でも、もうどうでもいいかなー。笑
それこそ、地獄の中を生きているような感覚でいるし、その中で楽しみを探した方が生きてる実感を感じられて面白いとは感じてる。
もともと『ネガティブ発~ポジティブ行』思考だし、そこまで周りに期待してないというか、当てにしてない。
改めて、働くことに関しては自分が全体主義じゃなくて個人主義なんだなと感じますね。
嫌な時は逃げる
もし今『蟹工船』みたいな環境で働いていたらどうするだろうね?
【過酷な労働環境の実態を暴露!】って生配信とかしちゃう?笑
私だったらこのブログで体験レポとか書くかなー。
今の時代は組織に所属して働くだけがすべてじゃないし、顔上げて周りを見たら生き方なんてたくさん溢れているからね。
あとはノリと覚悟くらいあれば、意外と『いわゆる世間』から外れても何とかなるもんかな。
まぁ立場は弱いけどね。
だから、もし働くのが辛かったり、どうしようもない不満があるなら逃げていいと思う。
働くに限らず、所属しているところが嫌なら無理する必要はないよね。
「海は広いなー 大きいなー」って言うし、もっと違う環境はある。
『蟹工船』の場合は、若者が騙されて働かされることもあったようだし、嫌だから逃げられるわけではなかったかもしれない。
でも今の時代なら、嫌なら逃げてもいいし、発想を変えて対処できるかもしれないね。
目の前に高い障壁があったとき、登るだけが選択肢じゃないと思う。
実はめっちゃ薄くてパンチしたら壊れるかもしれないし、あるいは、めっちゃ細くて横に移動したら周り込めるかもしれない。
そうやって逃げ続けて、屁理屈をこねた結果生まれたのが私なんだろうねー。笑
それでも、私は海に飛び出て良かったとは思う。水が合ってるかな。
…ちょっとしょっぱいけれどね(´▽`*)
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